物理化学系セミナー
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 物理化学系セミナー
日 時2012年12月17日(月) 10:30〜11:50(質疑を随時含む)
場 所理学部E002講義室
演 題〈前半〉シクロデキストリンの分子内相互作用と分子間相互作用
〈後半〉アミノ酸残基の双極子モーメントに関する量子化学的研究
担 当〈前半〉赤瀬 大 氏(量子化学D3)
〈後半〉三枝俊亮 氏(量子化学D3)
要 旨〈前半〉環状オリゴ糖であるシクロデキストリン (CD) は,多様なゲストを包接できるホスト分子であるため様々な分野で利用されている。我々は量子化学計算を用いてCD分子および二量体の構造最適化をおこなった。セミナーでは,気相中におけるCD分子の構造,コンホマーの安定性,分子内および分子間相互作用について発表する。また,分子力場計算を用いた水溶液中のMDシミュレーションをおこなった。その結果についても発表する。

〈後半〉双極子モーメントは反応性や安定性を予測・解釈する上で重要な要素であると言われている。そのため,タンパク質全体の双極子モーメントについてはこれまでにも研究例があったが,その構成要素であるアミノ酸残基の双極子モーメントについては研究されてこなかった。我々はαヘリックスおよびβシートについてのモデルを組み立て,アミノ酸残基としての双極子モーメントを,非経験的分子軌道法を用いて計算した。計算した双極子モーメントのベクトル和により,任意のアミノ酸配列のポリペプチドの双極子モーメントを予測することができた。

 物理化学系セミナー
日 時2012年10月22日(月)15:00〜16:20(質疑を随時含む)
場 所理学部 E209教室
演 題〈前半〉アダマンタン誘導体の水和シミュレーション
〈後半〉振動励起分子による化学反応の加速
担 当〈前半〉土居 英男 氏(量子化学研究グループD3)
〈後半〉河野 七瀬 氏(反応物理化学研究グループD2)
内 容〈前半〉アダマンタンは,非常に対称性の高い構造を持ち,興味深い物性を示す。我々はアダマンタン誘導体として5つの分子種を選び, 水和のシミュレーションを行った。これらの分子種とは,アダマンタンの水素原子をフッ素,塩素,アンモニウムで置換した分子種である。これらの分子種と水分子500個との モンテカルロ・シミュレーションを行い,水分子の酸素原子や水素原子の分布等を解析した。
〈後半〉化学反応に対する反応分子の振動励起効果に関する研究は,大気化学や燃焼化学などさまざまな分野に影響を与え,また,反応メカニズムの解明に繋がる重要な研究テーマ である。発表者はこれまでの研究で,振動励起OH(v ≦ 4)とCOの衝突素過程を対象に実験を行い,OHの振動量子数の増加にともなう反応過程の加速,および振動緩和過程の減速という 逆の傾向を初めて見出した。今回はさらに複数の反応経路をもつ NH2(v) + NO反応系の経路分岐比に対する反応物の振動励起効果についても報告する。